おしえてムーラン

2つの路線価

“路線価”というと、ほとんどの方は「相続税路線価」を思い浮かべると思います。私たち不動産関係者でも、単に“路線価”と言うときは相続税路線価の意味で使っていますが、実は“路線価”と名のつくものがもうひとつ存在します。それが「固定資産税路線価」です。

2つの路線価の共通点

①この2つの路線価は、どちらも公的に発表される価格であり、価格時点(いつの価格を表しているのか)が、毎年1月1日であるという共通点があります。②どちらも1㎡あたりの価格を表しています。③土地取引の価格相場を推定するときに、公示価格との目安となる割合を利用して導き出すことができます。

2つの路線価の相違点

①当たり前ですが、相続税路線価は相続・贈与の際の課税計算のもととなる価格、固定資産税路線価は固定資産税の課税計算のもととなる価格です。②相続税路線価は相続・贈与に関わる旨前述しましたが、ということは、人間の一生のうちで実際に課税計算の対象となる機会はそんなに多くはありません。それに対し、固定資産税は、不動産などの固定資産を所有している人は毎年課税対象となります。この違いを考えれば、2つの路線価を比較したときにその課税機会の多さから、課税される側にとっては、固定資産税に対してよりシビアになるのが一般的な感覚ではないかと思います。それを反映してか、相続税路線価が千円単位で表示されているのに対し、固定資産税路線価は百円単位で表示されています。固定資産税の評価は相続税評価よりデリケートであるということになります。最近は、土地価格の下落率が縮小しているため、相続税路線価は横ばいでも固定資産税路線価は若干下落というところも多く見られるようになりました。③土地取引の価格相場を推定する際は、○ア 相続税路線価は公示価格の8割程度であるため、0.8で割り戻せば、公示価格水準=土地取引の際の概ねの相場価格が計算できます。○イ 一方、固定資産税路線価は、公示価格の7割程度であるため、0.7で割り戻せば、公示価格水準の計算ができます。④又、公示価格水準を計算するに当たり、相続税路線価は、いわゆる街中には付されていますが、郊外では「倍率地域」という固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて相続税評価を算出しなければいけない地域があります。固定資産税にはそうした概念はないため、どんな場所にあっても、固定資産税路線価は計算の際に利用できます。

実際に見てみよう!

この固定資産税路線価は、インターネットの「全国地価マップ」というサイトで、誰でも無料で見ることができます。又、このサイトは固定資産税路線価を見ている最中にクリックひとつで相続税路線価も見ることができます。持家に住んでいる方など、固定資産を所有している人には4月に市から納税通知書が届いたと思いますが、実際にご自身で固定資産税路線価を見て、納税通知書に記載の評価額と見比べてみると、より理解が深まると思います。

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