おしえてムーラン

複利で考える

8月になりました。この季節、離れて暮らす家族が集まるご家庭で、日頃じっくり話すことがないお金や相続について話し合う―という方もいらっしゃると思います。私たちFPはお金の専門家という位置づけがなされていますが、私が個人的に重要と考えているのは細かい金融商品知識以前に複利の効用を知るということです。

複利とは…

今、手元に100万円あるとします。年間5%の利潤を得られれば、1年後には105万円になります。元手の100万円をそのままに、単純に年間5%の利潤を20年間貯蓄すれば、100万円×5%×20年=100万円元手の100万円と合わせれば、100万円+100万円=200万円になります。これは単利の考え方です。一方、100万円の元手で20年間複利運用したらどうなるでしょう。1年後は、単利も複利も105万円に増えている状態で同じですが、2年目に突入するとき、複利では1年間で得た利潤も合計された105万円を新たな元手と考えます。よって、20年後には、100万円×1.0520≒約265万円単利で計算した場合と比べると複利の方が約65万円多く増えることになります。

複利の効用―ムリがない

例えば手元にある100万円を20年後には300万円にしたいと考えたとします。20年間で200万円増やそう、3倍にしようということです。単利の考え方ですと、200万円÷20年=10万円1年間に10万円づつ増やしていかなければいけません。10万円÷100万円=10%初年度から10%の利潤を得なければいけない計算になります。複利だとどうなるでしょう。20年間で3倍にするための金利を計算すると、約5.66%。単利の10%と比べると相当に小さい、したがって、複利で考えた方が最初からムリなく増やしていきやすいということがわかります。

複利の効用の応用

この複利の考え方は様々な場面で利用できますし、実際にされています。積立型の投資信託や、純金積立も長期にわたって利潤の再投資を行うものであり、価格変動するものではありますが、重要な要素として複利の考え方を導入しているものです。スタートしてから間もない期間は、単利も複利も大きな差はありませんが、長期化すればするほど、その差は大きなものとなります。元手100万円、5%の利潤で20年後には単利と複利で約65万円の差が出る旨を記しましたが、これが30年では182万円、40年では、なんと約404万円の差に広がります。“積み重ねが大事”とは、お金のことに限らず、一般的によく言われることですが、仕事や勉強、スポーツなどにおいても努力し続ける人とそうでない人は複利で差がつく―そんなイメージで日々過ごすと、一日一日をもっと大切にできるのではないでしょうか。

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