「老後破産」という言葉が使われるようになってからずいぶん経ちますね。ウィキペディアには2014年時点において、約200万人の高齢者が老後破産の状態で老後を過ごしているとありました。この200万人という数字は65歳以上の高齢者のおよそ16人に1人(独居にすれば3人に一人)だそう。今後、年金支給開始年齢の引き上げや、年金額の減少が確実なのがわかっている現在40歳代の私たちはこの事態をもっと重く受け止めなければならないのではないでしょうか…。と、いうことで、今回は特に同世代の方に読んでいただければと思います。実はこの「老後破産」は“住まいのお金”ととても関係が深いのです。たとえば年金生活以降も住宅ローン残がある、また賃貸なら生涯家賃分の蓄えがない場合、年金収入のうち半分は住宅ローンや家賃になります。定年後も働くから大丈夫と思っていても、病気になって働けなくなってしまったら…日々のキャッシュフローが回らないのは想像に難くないですよね。しかも住宅ローンを払い終えないと、家は自分のものにもなりません。途中で返済できなくなったら今までの支払いも水の泡です。ところが多くの場合、予算を考える前に住宅展示場やモデルハウスに足を運んでいらっしゃるケースが多いような気がします。展示場やモデルハウスを見学して気にいった物件を見つけてしまうと、どうしたらこの家を買うことができるかということに考えが及んでしまい、ローン返済の確実性がおろそかになりがちです。さらに「家賃並みの支払いでOK」「変動金利・35年ローン」「頭金なしでOK」などという甘い言葉が、購入意識に追い打ちをかけます…これはざっくり言い換えると「頭金を貯めることができない状態の住宅購入希望の方が、一番安い金利で、一番長い期間のローンを組めば、ギリギリ購入できるかもしれません」ということです。仮に、上記の“甘い言葉”の住宅ローンを組んだ場合、そのご家庭では教育費や老後資金を貯めることはかなり難しいはずです。
私は住居費に充てることができる額は、手取り収入の20~25%程度だと考えます。ただし、この割合はあくまでも目安です。なぜなら手取り収入が同じでも、お金の使い方は人によって違うからです。また、住宅ローンについては、年収ベースで借りることができる額を借りるのではなく、月々の家計費のうち、住居費に回せる額を基準に借りるべきです。おそらく、住居費ベースで計画したほうが借入額は少なくなりますので、返済に無理のないプランを立てることができると思われます。「賃貸か?購入か?」という永遠のテーマがありますが、個人的には購入派です。ローンを完済してしまえば、その後の住居費はメンテナンス代・維持費・税金だけで済みます。これから住宅購入をお考えなら立地の良さが一番重要かと考えます。仮に将来介護施設などへ入居することになったり、ローン返済ができなくなっても、立地条件が良いと賃貸・売却できる可能性が高くなり、入居費用に充てることができますし、家計破たんも免れます。ちなみに…もし、現在においてローン返済が家計を圧迫し、身動き取れないようなら、本当に破たんする前に住み替えを検討すべきです。ライフステージごとに自分にとっての「快適な住まい」は違ってきます。定期的にライフプランを見直しながら、「老後破産」しない暮らしをしたいものです。