おしえてムーラン

株価値動きの変調

後の2,000万円問題が言われたのは、もう2年も前のことです。その時点で経済的な将来不安は高まっていました。そこにきて、昨年来のコロナ禍により、2年前の経済状態でさえ現時点から見れば相当に望ましい状態であるという事態となりました。しかし、世界的に危うい経済状態の中で長引く金利低下、拡張的経済政策により、一部では金余りが生じ、そのお金が株式市場に流れ込み株高にもなりました。日本の株式市場も30年ぶりに日経平均が3万円を超える局面もありましたが、乱高下かつ膠着の状態にあります。

これまでと異なる値動き

これまでは、円安だと日本株は株高になりやすい傾向が顕著でした。日本の代表的な産業と言っていい自動車など、有力な輸出関連の会社は円安・ドル高の場合に輸出代金が円換算すると増えるためです。このためドル需要が高まることにより、相対価値の変化から円安・ドル高が生じるということです。そしてこの円安時に起きたのが、これまでと異なる円安であるにもかかわらず株安という現象でした。その後、昨年後半にかけては円高に転じましたが、ここでも円高・株高という動きになりました。そして今年に入ると円安であって株価は停滞というものになっています。コロナ以前は、世界的に株安の場合は円高に進むケースが多くみられました。国の借金が多いと国内では言われる日本ですが、我が国の債務の“債権者”はそのほとんどが国内に在り、いわば身内の借金なので、他国のような外部からの借り入れではないため、国際的に円は安全資産と受け止められていたからです。ところがコロナにより世界の株価が暴落した昨年3月、なぜか円安となりました。いわゆる「有事のドル買い」が起きたためと言われています。「有事のドル買い」というのは、株価の暴落などでお金の流れが滞れば、貿易などにおける決済資金が確保できなくなるという予測の下で、国際間で最も決済時に使われるドルを確保しようという動きです。

今後どのような動きになるのか

前記したものは、全て起こった事象を述べたものであり、株式の世界で結果が出た後は、後付けの理由はいくらでも付けられます。でも、その理由付けをする人の今後の予測が当たるかというとそうではないのが現実です。経済的に不確実な世の中で、コロナのような疫病による急死のリスクも高まり、かつ、長生きする確率も昔に比べれば高くなっている今、年金もアテにならないと思われる方も多く、投資による副収入を考える人も増えていると思いますが、どのような考え方で市場に向き合えばよいのかも定まりづらいところです。

参考:GARP手法

GARPは、グロース・アト・ア・リーズナブル・プライスの頭文字を並べたもので、成長と割安の両方を追う手法です。この手法においては株価収益率(PER)を予想利益成長率で割ったPEGレシオが良く使われます。一般的にPEGレシオが2までが割安の目安とされますが、実際にこの1年の値動きを見るとPEGレシオが低い銘柄は堅調に推移しているようです。

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