おしえてムーラン

住宅ローンの債務者は誰にする?

日銀のマイナス金利政策を受け住宅ローン金利の指標となる長期金利が低下し、各金融機関の住宅ローン金利も伴って低下している昨今(平成28年7月31日現在)。金利が低いと、住宅ローンも多めに借りてしまう傾向もあるので注意が必要です。あくまでも借り入れは「月の手取り収入のうち、少なくとも5~6%の貯蓄も可能で家計に負担のかからない、返済可能な額」が無理のない額かと私は思います。

さて、今回は「誰を住宅ローン債務者にするのか」にフォーカスします。ご自身の単独債務なのか、はたまた連帯債務なのか。最近ではご夫婦で、あるいは二世帯同居であれば親御さんと連帯されている方も増えてきているようです。連帯債務のメリットは次にあげることが大きいのではないでしょうか。・ 家 庭 内 に 収 入 の あ る 人 が 2 人 い れば、単独債務の時よりも借り入れの審査が通りやすい。・住宅ローン控除をそれぞれが受けられる。(二人の合計収入が3,000万円以下、延床面積50㎡以上の住宅、返済期間10年以上などの条件有)ただ、注意点もあります。以下を例にして考えてみましょう。

①夫婦で連帯債務夫婦で連帯債務にする際は、出産・育児などで奥様の収入がなくなった場合にどうするのかを考えます。育児が落ち着いたら復帰…と思っていても、思うとおりにいかないこともありますよね。借入額を上限ギリギリで組むのは危険と言わざるをえません。できれば育休明けの奥様の収入をあてにしなくても、旦那様の収入だけで生活費やローンの支払いをカバーできるのが望ましいです。(そうすれば、奥様が復帰された際の収入は今後のための貯蓄にまわすことができます。)また、持分割合ですが、原則、所有権割合と支払割合が一致していなければなりません。この割合を理由もなく適当に決めてしまうと、後で贈与税などが課税される虞もあります。

②親子で連帯債務親子で連帯債務にする際は、原則として同居が条件です。親との連帯債務のメリットは、実際には“親から子への住宅資金の贈与のようなもの”ですが贈与税がかからないこと、また相続時に住宅ローンが残っている場合には評価額が下がることなどが挙げられます。とはいえ、夫婦で連帯債務する時とは違い、親の収入の増減や、親亡き後の返済をどうするかまでしっかり考慮する必要があります。

ローン債務者と登記名義人の関係は、「住宅ローン債務者=登記名義人」が原則です。ローン債務者とローンを負担していない人との共有名義の場合、ローンを負担していない名義人に対して贈与税が課税される可能性がありますし、名義人は1人なのにローン債務者が複数というのも税務署に指摘される可能性があります。連帯債務をする場合は、信用できる相手であることをきちんと確認したうえで臨むべきです。将来この債務で揉めそうだとか、過去に借入金の滞納歴があるなどの事情がある場合は避けたほうが賢明です。住宅ローンを組んでマイホームを取得するという行為は、ご自身の将来の収入を先取りして消費しているということです。日々の生活がローンの返済でカツカツにならないよう、無理のない返済計画を立ててくださいね。

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