今年の8月より、現役並み所得の方の中には介護保険サービスの自己負担割合が3割負担になった方もいらっしゃることと思います。そもそも介護保険制度は、高齢社会で膨らむ医療費を抑えるため、できるだけ介護を在宅で行うことができるように始まった制度です。今回の制度改定では、在宅復帰や在宅療養といった「在宅支援」が軸となっています。とすれば、「在宅介護」を軸に考えた場合、やはり気になるのはご自宅の住宅改修ではないでしょうか。介護保険には訪問サービスや施設サービスだけでなく、要支援・要介護の方がご自宅で暮らせるように住宅改修にかかった費用を助成するサービスもあります(上限20万円)。とはいえ、費用の1割(所得によっては2割又は3割)を対象者の方が負担しなければならず、原則一人一回までの利用など、下記のような条件があります。①介護保険の要介護認定を受けている。②介護保険の被保険者である。(第1号被保険者(65歳以上)または第2号被保険者(40歳以上65歳未満で、末期がんなどの老化に起因する16種類の特定疾病に罹患されている方))③工事内容が決まっている。では、どのような工事内容が該当するのでしょうか?下記にざっくりまとめましたのでご覧ください(厚生労働省ホームページ参照)。①手すりの取付け②段差の解消③滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更④引き戸等への扉の取替え⑤洋式便器等への便器の取替え⑥①から⑤の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修詳しい内容につきましては今回は省きますが、イメージとしては転倒予防、寝たきり予防のための簡単な改修といったところでしょうか。また、住宅改修とともに大切なのが「福祉用具の活用」です。特に高齢者の住環境整備は、住宅改修と福祉用具の適切な導入が必要です。対象者の身体機能の低下を把握し、住環境への不適合に対して、住宅改修と福祉用具の活用を同時に行うことが不可欠となります。
ところで、賃貸の場合でもこの住宅改修のサービスは受けることが可能なのでしょうか?賃貸住宅での住宅改修は、すべて住宅所有者(大家さん)との交渉となります。大家さんからの了承が得られれば住宅改修は可能となり、介護保険の給付対象となります。また、大家さんの意向に関係なく給付対象にならない住宅改修もあるので注意が必要です。たとえば退去時の現状回復にかかる費用は、給付対象外です。大家さんとの話し合いで「退去時の現状回復」を条件に住宅改修をした場合、そこにかかる費用は自己負担になります。敷金だけで対応出来ない場合、不足分は自己負担となります。
介護保険制度を利用して住宅改修を行う場合、どこまでが介護保険の適用になるのか注意が必要です。通常、要介護者が必要な部分だけしか認められないですし、要介護者が現に居住する住宅を対象としており、住所地の住宅のみが対象となりますので、要介護者が子の住宅に一時的に身を寄せている場合などはご留意ください。詳しくは、市町村の介護保険担当課、ご担当のケアマネージャーさん、地域包括支援センターへご相談ください。