「きんは100歳、ぎんも100歳」。このフレーズを覚えている方もいらっしゃることでしょう。きんさん、ぎんさんが長生きをして長寿だと言われていたのが約18年前。今では100歳以上の方も増えてきており、青森県では平成29年度、585人(うち男性58人、女性527人)で、約9割が女性のようです。健康で楽しく長生きできるとしたら、とても素晴らしいことですよね!住宅ローンも40年返済など長期にわたるものも出てきており、人生100年時代が目の前に迫ってきているのをひしひしと感じます。
そこで私たちが考えなければならないのが、老後の生活とお金です。生活費は働いていた現役時代よりお金がかからなくなることもありますが、医療費、冠婚葬祭費など、かかってくるものも多くなります。また、老後の主な収入は年金という方が大部分だと思います。現在の公的年金制度は、しっかりと現役時代に年金保険料を納めているのが大原則となりますが、65歳から年金を受給できます。これからの年金のお得な受給方法として、「繰り下げ受給」があります。通常、65歳からの年金受給の開始時期を遅らせる(繰り下げる)ことで、1年あたり約8%の年金額を増やすことができます。年金受給を遅らせた場合の増加率は「繰り下げ月数×0.7%」で、例えば67歳と6ヶ月で受給開始したり、68歳4ヶ月で受給開始するなど、1ヶ月単位で繰り下げが可能です。5年繰り下げて上限である70歳まで繰り下げることで、年間の受給額を最大42%増やすことができます。老齢基礎年金、老齢厚生年金ともに繰り下げることができ、それぞれの受給開始をずらすこともできます。「受給を遅くしたのにもかかわらず、早く亡くなったら…」との考えが出てくるかもしれません。確かに、繰り下げ受給をした場合、長く生きないと繰り下げている期間中に受け取れなかった年金額を取り返すことはできません。よく言われている損益分岐点は、約12年です。つまり計算上は、70歳から受給開始にした場合、81歳まで生きないと65歳からもらい続けた時の受給総額に追いつけないことになります。
これからのライフプランを考える上で、例えば夫婦で生活をしているのであれば、妻が年金の受給を繰り下げることもひとつの方法でしょう。あくまで目安にはなりますが、女性の平均寿命は87歳、男性の平均寿命は81歳で、上記、青森県の100歳以上の統計から、女性の方が長生きする傾向があることがわかります。女性は損益分岐点の12年が経過しやすいことと、夫に先立たれた際には、遺族厚生年金として夫が受け取れるはずだった金額の75%を受け取れることにはなりますが、夫婦二人で受給していた時より金額は減ってしまいますので、生きている間は夫に頼りつつ、繰り下げ受給をしておくことで年金を膨らませておけば、夫亡き後の生活にも安心感が出てきます。ただし、5年繰り下げて42%増えた年金が受給できる!と言っても、社会保険料・税金がかかってきますので、実際の手取りでの受給額は8~9割になると考えていた方が良いでしょう。家族、家計、貯蓄の状況やライフプランを見据えた上で、年金に関しても賢く受給できるようにしておきたいですね。