先日、着物仲間とコロナ自粛以来久しぶりに着物姿で会ったのだが、その際に「終活」の話になった。「帯を締めることができなくなったら、着物を手放す時よね~」という話題がきっかけだった。…認知症を発症するようなったら?…脳疾患になり入院後、そのまま施設で過ごすことになったら?高齢になり、身辺を整理できないままで亡くなると、遺された家族が家の中の不用品を業者に頼んで廃棄したり、遺品整理のために様々な労力を費やすことになる。ちなみに遺品整理費用の相場は、部屋の広さや荷物の量に比例して値段は上がり、4LDKで25万円~と聞いている。不用品はこまめにリサイクルやフリマなどを利用して事前に整理できるものはしておきたいなと思う…。ところで。認知症を発症するとモノの管理能力に影響が出てくるせいで、通帳や権利証、保険証書などの重要な書類の保管場所がわからなくなるそうだ。私もいつそのような状態になるかわからないし、何より家族にできるだけ迷惑はかけたくない。では、先手を打つためにはどうしたらよいのか。
重要な書類の管理
通帳、権利証、保険証券などの書類は大概は鍵をかけることができる引き出し等、人目につかない場所に保管されているのではないだろうか。私は父と二人暮らしだが、万一の時のことを考えてお互いに重要書類の場所は教えあっている。できればエンディングノートなどを活用し、重要書類の保管場所はもとより、暗証番号なども書き留めておいたほうがよいのだろう。他、10年以上取引のない銀行口座や、使っていないクレジットカードなどがあれば、やはりある程度の年齢になったら整理しておくべきだと思う。
任意後見制度の活用
そもそも「成年後見制度」は、認知症などで判断能力が不十分になった際に、本人に不利益が生じないように法的に後見人を決める制度だ。成年後見制度は“法定後見”と“任意後見”に分けられ、本人の意思を反映できるのは(本人に代わって行う代理権を付与する契約は)任意後見となる。では、任意後見契約でできることはどんなことだろうか。下記に挙げてみた。・預貯金の管理・年金(恩給)や手当の受領・日常生活に必要なサービスや商品の購入や契約・不動産その他の重要な財産の処分・遺産分割協議・要介護認定の申請や異議申立て・福祉関係施設の入所契約・介護サービスの提供を受けるための契約・医療契約の締結や入院医療費の支払い任意後見の開始時期は委託者の認知能力が後見相当となってからだが、民事信託であればあくまで契約で開始時期を決めることができる。ただし、任意後見で認められている身上介護はできない。他にも、自分ひとりで契約などの判断をすることが不安な方やお金の管理に困っている方をサポートする「日常生活自立支援事業(社会福祉協議会)」などもある。
活用できる制度は活用し、自分で管理できるモノを残しながら徐々にシンプルな生活にしていけたらと思う今日この頃。