おしえてムーラン

現状に沿った制度の見直しなら大歓迎!

先日、青森県居住支援協議会が主催するセミナーへ参加してきた。高齢者や障がい者への居住支援の現状説明と、成年後見制度と昨年施行された法定相続証明制度についての説明だった。セミナー前半では想像以上の現状を聴き、民間と行政の連携が今まで以上に今後の課題になりそうな印象を持った。特に私にとって興味深かったのは、セミナー後半の青森県司法書士会の沼田会長のお話だった。成年後見制度や法定相続証明制度についての概略は知っていた。とはいえ、法定相続証明制度については、昨年、法務局の方がこんなに熱心にPRにまわられているのは何故かなと思っていた。その答えが沼田会長のお話を伺って、今更ながらわかった。そもそも…相続が発生し不動産を相続しても登記の期限がなかった。そのため亡くなった方の名義のまま放置され、現在に至るケースがある。ところがこの相続登記未了が、東日本大震災の復興の妨げになった。高台に新しく住宅街を作ろうとしても、その土地の所有者が不明、または判明しても亡くなった方の名義のままで、なかなか復興事業が進まなかった…そんな事情が制度施行の背景にあったそうだ。今まで相続手続といえば、被相続人の出生から死亡までの戸籍書類や、法定相続人全員の戸籍書類を不備なく揃えて各関連機関へ持参しなければならず、手間がかかるだけでなく費用もかかっていた。法定相続証明制度を使い証明書を発行してもらうためには、一度戸籍書類を取りそろえ、法定相続情報一覧図を添えて法務局へ申請しなければならないが、たった1枚のこの証明書が、今までの何種類もある戸籍書類の役割を果たすそうだ。(ただ、戸籍書類を不備なく揃える労力や時間を考えると、お近くの司法書士さんなどに依頼したほうが安心だと思う。)


さて。相続に関する法律の大幅な改正が検討されていることは年明けのニュースでも話題になった。民法の相続分野の大幅な見直しは1980年以来、約40年ぶり。その間、高齢化が著しく進行してきた。昨今、被相続人が亡くなった場合、相続人となる人の年齢も高くなっており、比例して、高齢の配偶者の生活保障の必要性も高くなっている。そんな背景もあり、民法改正が検討されている中で、不動産関係の部分をピックアップする。

配偶者の居住権の確保

たとえば子供がいる場合の配偶者の法定相続分は、遺産の2分の1。法定相続分で分割した場合、子供の取り分を捻出するため、家を売却しなければならない場合も出てくる。そこで、住んでいる家に限って所有権とは別に「配偶者居住権」を新設。この権利を設定すると、配偶者以外の方がその家の所有権を持っていても、配偶者は住み続けることができる。

遺産分割

結婚してから20年以上の夫婦であれば、配偶者が居住用の不動産(土地・建物)を遺贈や生前贈与したときは、原則として遺産分割の計算対象としてみなさない規定が設けられた。このほか、パソコンで作成した財産目録を添付した自筆証書遺言を法務局で保管できる制度や、遺産分割前に相続人が預貯金を引き出せるようにする制度を新設。被相続人の介護などをした相続人以外の親族(相続人の妻など)が、相続人に金銭を請求できるようにすることなどが盛り込まれたそうだ。現行制度の不便さを解消する現状に沿うような改正なら、どんどん進めてほしいと思う。

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