おしえてムーラン

株式投資の実践的基礎知識

「貯蓄から投資へ」と言われて久しいですが、投資と聞いてまず思い浮かぶのは株式投資ではないでしょうか。昨年末から今年の年初にかけて日本の株式市場は乱高下しました。アメリカと中国の、いわゆる貿易摩擦は世界の株式市場の先行き不透明感を今後も感じさせるものであり、投資家や市場関係者の多くが、いまだに不安を感じていると思われます。世界の株式市場の中でも、特に日本はブレ幅が大きくなっています。日本の市場参加者の概ね6割強は外国人、そのうち約7割がヨーロッパ人だと言われていますが、これだけ乱高下した中で“下”で売ったのは日本の個人投資家が多いと聞きます。株式投資の教科書のような本を読むと、「長期投資」の有効性を説いたものが多いのですが、これから株式投資を始めようと思っている方に、簡単ではありますが実践的な話をしたいと思います

少額から始める

当たり前ですが、最初から大きな額を投入するのは危険です。あくまでも、余裕資金の範囲内で始めましょう。

計画を立てる

これは、株式投資を始める時の基礎となるものです。例えば100万円を10年間で200万円にしようと考えた時、みなさんなら1年目でいくらまで殖やせばいいと思うでしょうか。単純に計算すれば「1年あたり10万円儲ければいいのでは…」となります。当然、1年目から10%の利益を上げるということになります。また、純利で10%の利益を確保しようと思えば、税や売買手数料を考慮すると14万円弱―率にして14%弱を表面差益で確保する必要があることになります。初年度から14%弱という数字は熟練した人にとっては無理な数字ではないと思いますが、初心者にはやや重荷になると感じます。そこで考えたいのは複利の逆算です。10年間で2倍にするためには、年間約7.2%の複利で継続すれば達成できます。純利で7.2%を確保するための目安は、表面利益で10%弱となります。更に月ごとに複利の逆算をすると、月当り0.8%の表面利益を確保できれば年間10%の表面利益=7.2%程度の純利が確保できます。

ブレを利用する

様々な銘柄を物色しなくても、応援したい会社の値動きを見ていると、一日の中で、一週間の中で、結構なブレが生じているのがわかってきます。そのブレを利用することで差益を積み上げるという方法もあります。

少銘柄+複数単元

たとえば100株単位で売買されているものであれば、時間をずらして100株(最低単元)ずつ購入し、300株程度にします。これをまた時間をずらして100株ずつ売ったり買ったりする―この方法が最も実践的と思われます。大儲けもしない代わりに、大損もしないスタイルであり、応援したい会社を応援し続けながら、自分の利益も積み上げられ、言ってみれば「結果的な長期投資」となるような方法です。

3分の1くらいは口座に残す

応援したい会社の株式を購入して、ずっと保有するというスタイルが投資の教科書的なものであり、投資の本懐というべきものなのでしょうが、追い足・逃げ足の速い外国人機関投資家に対抗しながら利益を上げ続けるのは意外と難しいものです。証券会社の口座に入金した額のうち、3分の2を実際に動かし、3分の1は不測の事態に備えて置いておく―この方法はとても有効だと思います。この3分の1は、今のように乱高下する可能性が高い相場で、急落したときに下値で拾う原資とすべきものになります。口座入金額のすべてを最初から投入してしまうと、急落を逆手にとってチャンスに変えることができなくなります。換言すれば、乱高下は利益拡大のチャンスでもありますが、まずは少額から初めて、市場を見続けてみてください。

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