おしえてムーラン

投資は長期か、短期か?

早いものでもう12月です。今年は春からコロナの脅威に対して、世界中がジレンマを抱えたまま、この時期に至った感があります。私はボクシングを見るのが大好きなのですが、当然にボクシングの興行も世界的に影響を受け、10月末までは大きな試合もなく淋しい思いをしていました。そのような中、日本が誇る世界チャンピオンの井上尚弥がラスベガスで見事な防衛、又、中谷潤人が、素晴らしい内容で世界タイトル奪取と、長期間の鬱憤を晴らす見事な勝利を収めてくれました。閑話休題、そうしたコロナ不況の中で、株価はバブル期以来の高値となっています。今回は、投資について考えてみたいと思います。

今の株高は本物なのか?

11月中旬、日経平均は29年ぶりの高値をつけました。コロナ不況といえども、これが追い風になる業態もあることは確かですが、なぜこれほど株高になったのか私にはわかりません。もっともらしいことを言うエコノミストはアメリカの大統領選挙でのバイデン氏の勝利(※本原稿執筆時、未確定ですが…)により、先行き不透明感が薄れてきたからだ、などと、後付けの解釈をしますが、私が思うに、それは結果論であって、最近の株式の動きの傾向とコロナのリスクを孕んでいる現在の状況にあっては、いつ急落してもおかしくないような気がします。金融市場は様々な要因で動きます。全ての財の価格は、その財について我々が認める効用、その財の相対的稀少性とその財に対する有効需要の三者が結合して形成されます。その財のうち、株式は最も値動きが時間的に細かく、かつ、それが明示されることにより、株式に投資している人に心理的な動揺も与えやすい性質があります。そして、この値動きの時間的な細かさが、短期投資と長期投資の選好についてのジレンマを生みます。

短期か長期か?

今回のアメリカ大統領選挙のような大きなイベントがあると、通常の時期よりも短期投資家が増える傾向があります。こうしたイベントの前後(特に後)は、値動きが大きくなりがちなので、“当たれば”比較的大きな利益が得られます。ハズレれば当然に逆の結果となります。また、通常の時期においても何らかのアナウンスにアンテナを張っている投資家は、細かなタイミングで売買を繰り返しています。しかし、短期は“フェイント”に掛かることも稀ではなく、小刻みな打撃戦のような様相を呈しながら市場は推移していきます。一方、長期投資については、多くのファイナンシャルプランナーが「投資の王道」として語ることも多く、長い年月で見れば複利効果も手伝って長期投資に一定の効用を見出だすことができます。但し、11月の株価が“29年ぶりの高水準”ということは、概ね30年前に株式投資を始めた人は、全体的に見ればずっと低迷期を強いられていたことになります。長期という曖昧な言葉だと焦点がぼやけますが、直近30年という長期では、必ずしも王道が勝ったとは言えません。私見で言えば、短期と長期を同時並行で試し続けるのが、現実的な王道だと思います。短期での打撃戦で、打ったり、打たれたりしながらを続けていくことにより、長期投資に値する銘柄に対しての目利きができるようになる―というのが、人間という短期的に不合理で長期的には合理的という習性を持つ動物にとって、結果的に最も賢明で、持続性のある方法だと思います。

最後に

しつこいようですが、コロナ禍にあって、日本のボクシング界が煌びやかな時期を迎え、長期ボクシングファンの私としては感慨もひとしおです。年末には、井岡VS田中という日本人同士のスーパーファイトを控え、ワクワクしています。今年も“おしえてムーラン”をご愛読いただきありがとうございました。それでは、よいお年を…。

PAGE TOP