おしえてムーラン

「個人向け国債」でお金の置き場所を変える

大手銀行など金融機関の定期預金金利が0.01%から、0.002%に引き下げられています。今から考えると、1970年代に銀行の預金金利が8%近くあった時が、まさに夢のようですね。また、現在は日本で2007年に生まれた子供の半数が107歳より長く生きると予想されています。(リンダ・グラットン著 LIFESHIFT 100年時代の人生戦略より)。人生100年時代、楽しく健康にすごすために必要なものとしては、友人、趣味、社会活動、健康、そして、お金が必要になってくると考えられます。「健康に長生きしたい!」というのが誰しもの願いだと思いますが、健康寿命を延ばすとともに、『資産寿命』も延ばさなければなりません。資産寿命を延ばす資産形成の選択肢として、・つみたてNISA、iDeCoなどで投資信託をコツコツ積み立てていく(リスク資産)・より安全な商品として、預金、個人向け国債など(無リスク資産)などがあり、リスク資産と無リスク資産をバランス良く持つのが大切になります。


その無リスク資産の代表的存在の1つ、それが『個人向け国債』をご存じでしょうか?あまり聞きなれないという人が多いかもしれませんが、国が発行する債券(借金)を個人投資家に買いやすくしたものです。国が発行する債券なので、「一番リスクが低い」とも言われています。身近にある銀行などでも購入でき、もちろん、ネット証券などでも購入できます。【個人向け国債】・1万円から購入できる・固定金利3年、固定金利5年、変動金利10年の3つのタイプがある・金利の下限が0.05%(年率)・半年に1回ずつ、年に2回、利子がもらえる・1年経過すれば、いつでも換金が可能などの特徴があります。銀行預金は銀行が万が一、破綻などした場合には1,000万円とその利息までしか保障されませんが、多く預けられる方は個人向け国債にそのような制限がありませんので、より安全だとも言えそうです。個人向け国債の現在の金利は、3つのタイプとも下限の0.05%となっていますが、変動金利10年は実勢金利に応じて半年毎に適用利率が変わるため、受取利子が増えることもあります。


これらの特徴から、“将来のある時期に使い道が決まっているお金”を安全に運用する方法のひとつとして、個人向け国債が選択肢のひとつになります。目的別に利用する方法としては、子供の教育資金を長い目で見ながら用意する方法にも使えそうです。子育てをしていると、日々、何かとお金がかかり、なかなかお金を貯められないというご家庭もあると思います。あくまでも教育資金を目的として、日々の生活に使わないように安全に「お金を置く場所を変えておきたい」というニーズにも応えられます。例えば、大学・専門学校などの進学のための子供の教育資金は、18年間かけてコツコツ積み立てる必要ありますが、学費として公立大学244万円、私立大学(文系)424万円などかかることを考えると、18歳までに400万円あると進学がしやすくなります。現在、子供がいる家庭に給付されている児童手当(15歳まで)で198万円、その他毎月1万円ずつ18歳まで積み立てていくと216万円、合計で414万円になります。“その他毎月1万円ずつ積み立てる分”を個人向け国債の購入に充てていくという方法も考えられます。選択肢として学資保険なども考えられますが、17~18歳まで解約できない、もしくは解約すると元本割れしてしまう、高校進学時に私立高校に行くことになり費用が必要になった時に解約しづらい、などがありますので、中途換金がしやすい個人向け国債を利用して柔軟にお金を使えるようにしておくのも良いでしょう。


自分自身のライフプランやお金についての考え方次第にはなりますが、『お金の置き場所』を変えることで、リスク資産と無リスク資産のバランスを考えながら、安全に少しでも有利に運用することも心掛けたいですね。

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