おしえてムーラン

マンション傾斜問題に考える

秋口から横浜のマンション傾斜問題が大きく報道され続けましたが、今回はこの問題から住まいの購入の際に今一度考えていただきたいことを述べてみたいと思います。

1.モデルルームで何を見るのか?

この問題についてテレビのコメンテーターからは「モデルルームしか見ることが出来ないし、構造的なことはよくわからない」「構造については信頼するしかないのに」といった発言がされていました。発言の趣旨は理解できますし、今回の問題に関して言えば、しっかりとした建物を造っていなかった業者が悪いのは明白ではあります。ただ、「業者が購入者に約束した構造」そのものについて、購入する方にも、もっともっと充分な関心を持っていただきたいと思います。マンションに限らず戸建住宅であっても、建築会社のモデルハウスがあります。モデルハウスでは最新の設備や内装、または間取りの一例を自分の目で確かめることができますし、そうしたものから、これからの生活の場を想像していくのは購入希望者にとって楽しい作業です。でも、見に来ているのは“ 建築” 会社のモデルハウスです。住宅設備機器メーカーや内装材メーカーのモデルハウスではありません。建物の主役は「構造体」です。設備や内装も日常生活を送る上で、より快適・便利な機能や楽しさを付加してくれる大事なものではありますが、構造はそれ以前の安全・安心な生活を営んでいく上での最も大切な基盤となります。建築費の中でも、基礎・柱・屋根・外壁などの主要構造部が占める割合が高いことは、容易に理解できると思います。購入希望者には必ず予算の制約がありますから、ただ頑丈さにお金をかけた住まいを造ればいいというものではありませんが、この予算制約の中で、構造に本当に自信を持っている会社は、そこを核となるセールスポイントとして購入希望者にアピールします。“ 安い” とか、“ いい設備が付いている”ということもセールスポイントのひとつではあるでしょうが、建築会社としての社会的な使命感を持っていれば、そこを“ 主武器” にはしないのではないかと思います。構造は、目に見えないところではありますが、むしろ見えないからこそ購入前に充分に吟味し、購入後の安心を手に入れていただきたいと思います。

2.マンション固有のこと

青森ではマンションの購入動機として“ 雪かきがいらない” というのが最も多いと感じます。マンションというのは全く珍しい存在ではないのですが、日本で建てられ始めたのが前回の東京オリンピックのころですから歴史とすればそれほど長くはありません。10年くらい前から建替えの際の具体的な問題が見えてきた、というところです。マンションは、ひとつの建物に複数の世帯が入っていますから、大規模修繕・建替えの際には自分の意思だけではできないということは、多くの方がご存知だと思います。又、戸建住宅と異なり、修繕積立金・管理費・駐車場利用料などの月々の経費が発生します。修繕積立金・管理費は安ければいいというものではなく、大規模修繕をするときに積み立てた金額では足りなければ、追加の出費をしなければいけません。こうしたマンション固有の性格をしっかりと把握して検討していただきたいと思います。

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